「進化する赤の不死鳥。3年ぶりの甲子園見参」日本大学フェニックス
3年ぶりに聖地甲子園に戻ってきた日本大学フェニックス。昨年はリーグ戦3勝4敗と負け越しの同率4位。今季はその借りを一つひとつ返しながら甲子園までたどり着いた。その道程を振り返りながら、今季のチームを紹介したい。
今季初戦の対戦相手は昨年敗れた中央大。先発の1年生QB#13林(大)が最初のプレーでいきなりパスをインターセプトされる不安な立ち上がり。QBを#14室井にスイッチし前半終了間際に逆転するものの、そのプレーで室井が負傷。
後半、中央大に再びリードを奪われ、3Q終盤にはゴール前まで迫られる。
ここで中央大のギャンブルをDB#2米田がロスタックルに仕留め、続く自陣からのドライブをK#4篠原のFGに繋げて同点。試合最後のプレーで、篠原が45ヤードの勝ち越しFGを決め、20-17と薄氷の勝利をモノにした。
続く立教大戦にQB林(大)からWR#82小倉の3TDパスなどで快勝。第3節の明治大戦ではQB林(大)がエースの背番号10を付けて登場、45得点の大勝。第4節の日体大戦にも勝利して迎えた早大戦は、嵐の中での戦いとなった。
開始早々、1Qにゴール前からのギャンブルでRB#33中野が8ヤードを走りきり先制TDを決める。
その後は台風の影響で攻めあぐねるも、DL#91宮川が相手のパントフェイクランを抑えるなど早大に得点を許さない。
P#54松浦の好パントでいいフィールドポジションを確保し続けた日大に対し、早大はパントブロックを狙うがこれが反則となり、ラッキーなダウン更新。そのシリーズをRB#5ウィリアムスのTDランに繋げた日大は、3連覇を阻まれた一昨年の早大戦(9-21)を反転させたような試合運びで全勝をキープし優勝に王手をかけた。
昨シーズンは6-27とまったく良いところなく敗れた慶応大戦。「(リーグ戦と春の試合で負けたので)絶対やり返してやろうと思っていた」と山崎主将。ラン、パスとバランスよく攻め、守備でもLB#1ワイズマン、DB#7小田原らが躍動し、24-3と快勝。法大が2敗となっていたためこの勝利でリーグ優勝が決定した。
同じく昨年敗れた最終節の法大戦。「油断があった。フェニックスとしてやってはならないことをしてしまった」(内田監督)というミスからの逆転負けで全勝優勝を逃す。
冷や水を浴びせられる結果となった法大戦の翌週、東日本代表校決定戦の東北大戦。
山崎主将は「まだミスがあった」と言うものの、11TDを挙げて3年ぶりの甲子園ボウル出場を決めた。
リーグ最多得点の日大攻撃を支えたのは「田中コーチがマイナスからここまで作ってくれた」(内田監督)という副将加倉井を筆頭とするオフェンスライン陣。主将DL#57山崎を最前列に置き、DB#3ビーティーらが最後尾に構える「迷いのないディフェンス」(内田監督)の喪失ヤードはリーグ最少。ともに左利きの篠原、松浦のキックは接戦を制する原動力となってきた。
「岩﨑マネージャー、小笠原トレーナー、そして女子マネージャー達が、選手が活躍できる環境を作ってくれた」。内田監督が優勝を決めた直後の記者会見の冒頭で、最初に讃えたチームスタッフの働きも見逃せない。
冬の阪神甲子園球場を赤に染めるであろう応援席まで含めた総力戦で、3年前の借りを返しに関学大に挑む。
記事;松川達也(関東学生アメリカンフットボール連盟広報委員)
写真;seesway (KCFA Official Photographer)
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)