「生まれ変わった青の若武者。2年連続の王座を目指す」 関西学院大学ファイターズ
甲子園ボウル2年連続51回目の出場を果たした関西学院大学ファイターズ。昨年から選手は入れ替わり若返った。西日本代表校決定戦のスタメン出場選手の平均学年を比べても、昨年は3.54年。一方、今年は2.95年まで下がった。フレッシュな顔ぶれで2年連続の学生王者の称号をつかみ取る。
逆境を乗り越えて聖地甲子園に足を踏み入れる。リーグ戦最終節の立命戦。試合開始52秒、わずか3プレー目のTDで失点。前半に10点を奪われ、相手に流れを渡した。
オフェンスでも、RB山口が2度に渡りゴール前1ヤードで泣かされた。スタメン出場選手24人中18人が4年生の経験豊富なマルーン集団に7ー21で敗戦。関西学生王者の座を譲った。
試合後、主将OL井若は「1年間取り組んできたことがすべて否定されているように思った。やっぱり俺たちは弱い、完敗や」と、大粒の涙を流した。同時に「あと2週間で自分が全てを変える。沈んだ選手、暗いスタンド。逆のことを立命大にやらせる」と。スローガン『CHANGE』を体現すると誓った。
迎えた西日本代表校決定戦。フィールドには生まれ変わった青き戦士たちがいた。試合開始2分、4プレー目でWR前田(泰)がQB西野からパスを受けTD。さらにRB山口が雪辱を果たすかのように2度、ゴール前1ヤードからTDを奪った。
ディフェンス陣も与えた失点はFG1本のみ。立命大をTD数0で抑えたのは2012年以来5年ぶりのことだ。前試合の立場が完全に逆転した。「勝てて本当に良かった。人生で一番しんどい2週間だった」と、笑顔が戻った。
オフェンス陣を引っ張るのは3年生QB西野。強みは強肩を生かしたロングパスと春にRBを経験し進化した走力。リーグ戦は全試合スタメン出場を果たした。昨年、甲子園ボウル最優秀選手に選ばれたQB伊豆(17年卒)のパス成功率59.5%を上回るリーグトップの65.5%を記録した。
RBには高松と山口の2枚看板が名を連ねる。リーグ戦では、RB高松はチームトップの8TD。RB山口はそれに次ぐ7TDを記録。山口のラン獲得ヤード数はリーグ3位の491ヤード。当たり負けしないフィジカルの強さを兼ね備える。西日本代表校決定戦では2TD、202ヤードを稼ぎ出し、鳥内監督も「個人技が光ったな」と、舌を巻いた。
ディフェンス陣の要はDB小椋。今年はコーナーバックからセーフティーに転向。リーグ第6節の関大戦では、100ヤードのFGリターンTDを決め、流れを変えた。西日本代表校決定戦でもタックル数は、両チームトップの9.5回(参考記録)と奮闘した。
LB陣は副将の松本を軸にまとまる。1年生ながらリーグ初戦を除きほぼスタメン出場を果たした海崎は、西日本代表校決定戦で立命大エースRB西村を果敢に止め、持ち味である思い切りの良さを発揮した。
3年ぶりに、甲子園の地で伝統の青と赤の対決が幕を開ける。優勝回数最多28回の関学、2位20回の日大。鳥内監督は「普段通りのことを積み重ねるだけ」と、話す。主将井若も「自分たちが弱いことは痛感している。一つひとつ練習から積み重ねて戦いたい」と、意気込んだ。
下克上を果たし、学生日本一まであと1勝。必ず2年連続の学生王者を勝ち取る。
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記事;日下聖太(関学スポーツ)
写真;P-TALK
http://www.p-gallery.jp/stm_shimizu.html
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)