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topics 2015-12-12

甲子園ボウル 立命館大-早稲田大の見どころ 『甲子園の冬の青空に赤き炎が燃え上がる』

リーグ最終戦の立命館大は、ここぞとばかりに粘りを見せて、ついに去年の悔しさを晴らしてしまった。それは見るから強力なラインと、多種多彩なOLブロック。そして圧倒果敢で、強固なまでのDLラインによるものであった。

この全体における重厚感、パワフルさは学生フットボールのトップクラスにある。

その分厚いラン守備で、関学大エースRB橋本(3年)の低く速い足運びを止め、DBは果敢に打って出てパスマーク。しかもそこに焦りはなく、じっくりと最後まであきらめずにクールに戦況を見つめながらである。そこに勝算はあった。

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「ここへは2度と来たくない。トウキョウボウルにはもう、出場したくありません」。

あのとき、悲壮感を帯びていた米倉監督。

第1回TOKYO BOWLは、東西大学対抗戦として初年度の試合であった。
ときに関学に敗れ、心さみしく、そこから這い上がっての遠征試合。ようやく気を取り直して、41-7と強豪法政大を一蹴せしめた。

今季注目のオフェンスでは、若きQB西山(2年)の沈着冷静なミドルパスに、確実で丁寧なハンドオフと俊敏なフェイクがある。また安定するOLとのコンビネーションは抜群、しかもまだまだ成長過程にあるのだから素晴らしい。

エースRB西村(2年)が、強くしかもしなやかで速いステップとブロッカーの背面の角度を瞬時に捉えてのラン、そこではOLとWRが、相手LBとDBを取りやすいポジションに差し向ける圧巻のスピードランさえみられる。

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それもセンスあふれる日本大のエースWR西村(4年)の兄・有斗に刺激を受けた弟・七斗だ。それゆえ試合ではとことん、やらねばならぬとの気概に満ちる。

ラインではOL齋藤(4年)、OL島野(4年)、OL遠藤(4年)、守備DL中里(4年)とDL大野(3年)、LB浦野(4年)とLB八条(4年)。セカンダリーでDB奥野(4年)に奥田(4年)らの躍動に期待だ。

一方、関東TOP8リーグ覇者の早稲田大、そこにときの運があり躍進へとつながった。

春先からその大型ラインで相手を圧倒してきた主将DL村橋(4年)と、DL庭田(4年)、そして守備の要はLBコグラン(4年)とLB加藤(3年)の2枚看板。そこでのコンビネーションの良さによって余計な得点を与えないで勝ち上がってきたのだ。
いわばそれら堅固なディフェンスで試合を組み立ててきた。

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12月になり、いよいよ故障者が復帰。万全のチーム力で甲子園ボウルにフルアタックをかける。そのTOP8のレギュラーシーズンでは、日本大に対して驚きの2DL-5守備で勝利。また守備のキーマンを欠いた状態での法政大との接戦もあったが、ひとえにそれは、ひたむきさの勝利でもあった。

 「ここまで3年かかりました。ようやくですね」。

実直に選手達との対話を重視してコーチングにあたってきた濱部監督だ。

守備のウィークポイントはDB陣と囁かれていたレギュラーシーズン、攻撃ではQB政本(4年)、QB笹木(3年)との併用が予想され、そこにQB坂梨(2年)のワンポイント投入もありそうだ。

バックスではRB須貝(3年)、RB北条(3年)、RB片岡(1年)などが変幻自在のラッシュをみせる。甲子園対策でスペシャルプレーが周到に用意されてもいる。それもあの2-5守備に代表されるようなものを。

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優勝を決めてからの時間が充分にあり、熟慮を重ねての立命館大対策。まして総勢部員140余名に、関西からの10名近くの入部をみて、ならば西への遠征、臆するに足らずであった。

全日本大学選手権決勝に進出した両校は、かつて早大学院高と立命館宇治高のクリスマスボウル(全国高校決勝)を経験している選手達であり、組みしやすさはそれぞれにある。

一瞬の隙を突いて、そこから切り崩していきたい早稲田大には頭脳プレーがありそう。さらに前進して最後にはK佐藤(4年)のロングキックの計算も可能だ。

立命館大はその圧倒的なパワーで終始、押し切る王道のゲームをめざす。それも前年の悔しさを胸に秘めてだ。甲子園でのマルーンレッドとエンジ、大いなる接戦を望みたい。

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記事;岩瀬孝文(スポーツジャーナリスト)

写真;早稲田スポーツ新聞会

   http://wasedasports.com/

   P-TALK

   http://www.p-gallery.jp/stm_shimizu.html

編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)

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