5年ぶりに『日本一』への挑戦権を得た早稲田大学ビッグベアーズ。関東大学秋季リーグ戦の山場となった日大戦、法政大戦で昨年の悔しさを喜びへと昇華させた。
今季の強みは、全員でつくり全員で出すオフェンス、副将LBコグランとLB加藤の二枚看板を活かした関東TOP8屈指のディフェンス、そして洗練されたキッキングチームからなる総合力である。
今季の戦いをふり返りつつ、甲子園ボウルの見どころを紹介する。
選手層の厚さが持ち味のオフェンス。第4節までは、ランとパスを織り交ぜながら多くのシリーズを得点に結びつけた。
真価が問われたのは強力なディフェンスを誇る日大戦。この試合では、日大守備の集散の速さを逆手に取り、カウンター系のランやプレーアクションパスを数多くコール。
1Qにレーザーフェイクからボールを受けたRB須貝が67ヤードを疾走。このシリーズをQB笹木からWR岡田へのTDパスで締めくくった。オフェンスとしてのTDはこの一本のみだったが、優勝を懸けた法政大戦ではQB政本とRB北條が躍動。両者ともランでTDを奪い、リズムを生み出した。
甲子園ボウルではRB藤井、須貝、北條のラン攻撃がどこまで機能するかが大きなポイントだ。リーグ戦チーム最多ラッシュのRB須貝は「万全の準備をして臨みたい」と意気込む。
スピードに長けた藤井、パワフルな須貝、クイックネスが魅力の北條、三者三様のランでロス上を突破したい。そのためにもOL陣が立命大DLをコントロールできるか。絶大な信頼を得るOL上石、OL松原のブロックとパスプロテクションの出来が重要になる。
パスユニットは、強肩の4年生QB政本か、テンポよくオフェンスを率いる笹木がスターターを務めるだろう。俊足のWR岡田や球際に絶対的自信を持つWR鈴木(隆)へのロングパスにも注目だ。
鉄壁のディフェンスを築き上げた早稲田ディフェンス陣。特筆すべきは第5節、高い得点力を持つ日大オフェンスを9点に抑えたことだろう。夏合宿から練習していたという2DL5DB守備をこの日初披露。日大OLの混乱を誘い、相手のパスユニットをシャットアウトした。続く第6節の法政大戦も、2DLで対抗。前半は完封しディフェンスで流れを呼び込んだ。
甲子園ボウルのキーマンはDL。立命館重量OLの壁を切り裂き、RB西村(七)を止められるか。高校時代から経験豊富なDL庭田、DL小宮山が粘り強く前でプレーを壊し、早稲田のエースLBコグランと加藤にタックルさせる形を作りたい。また、主将DL村橋も復帰予定で、ロス上での大暴れが期待される。リーグ戦MVPのLBコグラン、的確かつ早いプレーリードが持ち味のLB加藤の奮戦は必須だが、立命館QB西山のパス攻撃も要注意。DB藤原、副将DB鈴木(拓)が、いかにWR陣にプレッシャーを与えられるか。リーグ戦でも何本か決められたロングパスをしっかりケアしたい。
泣いても笑っても残るは多くてあと2戦。オフェンス、ディフェンス、キックにおいて一つのミスも許されない。早稲田としては、キックで良いフィールドポジションを確保し、ディフェンスで流れを作り、オフェンスがじわじわとゴールラインへ攻め込む形が理想だ。互いのプライドが火花を散らす頂上決戦。ファイティングスピリッツに期待したい。
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記事;和泉智也(早稲田スポーツ新聞会)
写真;近藤廉一郎(早稲田スポーツ新聞会)
http://wasedasports.com/
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)