Road to Koshienbowl 日程&結果【全国】

RB#28 須貝 和弘 (3年)

今季5年ぶりに関東王者の座を手にした早稲田。守備の良さが目立つチームではあるが、ランアタックにも定評がある。RB陣では藤井、北條に加え、圧倒的な存在感を放つプレイヤーがいる。それがRB須貝和弘だ。

フットボールとの出会いは高校1年のころ。中学まではラグビーをやっていたが、関東の名門・早大学院に入学後、フットボール部の整った練習環境に心をひかれ、入部を決意した。当時のチームはまさに黄金時代だった。3年連続で全国の頂点を決める大会、クリスマスボウルを制しており、須貝自身も主力として活躍。そして最後のクリスマスボウルでは、最も優秀なバックスに与えられる三隅杯を受賞するなど、その才能を開花させた。

須貝の魅力は何といってもインサイドでの縦への突破だ。相手ディフェンスの空いた隙間を見逃さず、走り抜ける嗅覚はチームでもピカイチ。ラッシュでは層の厚いワセダのRB陣の中でもチームトップを記録している。
また、歴史的勝利を収めた日大戦でも、序盤に80ヤードのロングゲインを見せ、この試合の流れを大きく引き寄せた。さらにラッシュもさることながら、キャッチ力にも長けており、まさにオールラウンドなリーディングラッシャーといえよう。

しかし甲子園ボウルの相手は、関西の強豪・立命館。早稲田にとって日本一への大きな壁として立ちはだかってきた宿敵を前に、須貝も油断はしていない。
「相手はうまく、かつパワフルで強烈なディフェンス。厳しい展開になると思うので、勝敗を分けるワンチャンスをつかみ取りたい」と意気込む。
「いつも通り。RBとして迷わず、OLが開いてくれた穴を走りきる」。
多くの人に支えられながら、たどり着いた大舞台。それをしっかりと自覚しながらも揺るがないこの姿勢は、チーム内で切磋琢磨をし続けてきた須貝の努力を裏付けている。かつてない強固な防御網をこじ開け、ワンチャンスをものにすることができるか。この男の突破が早稲田を勝利へと導く。

WR#1岡田 義博(4年)

秋季シーズンのTD数は7つと、チームの中でトップをマークするのは、早稲田の得点源、WR岡田義博。確実なキャッチ力、ラックのセンスなど、どれも取ってもトップクラスであり、まさしく早稲田のエースWRだ。QBとの意思疎通は完璧、放たれたボールは吸い込まれるように手に収まる。毎試合見せるその華麗なキャッチは会場を魅了する。

秋季リーグ戦、初めは決して目立った選手ではなかった。しかし、その実力を知らしめることになったのが第3節の日体大戦。この試合で岡田は7レシーブ、89ヤード、3TDの活躍で勝利に大きく貢献し、QBとのホットラインを形成した。
岡田の強みはキャッチの安定感。手中に収まったボールは絶対に離さない。勝負どころのロングパス、ディフェンスとの競り合いなど、どのシチュエーションでも練習通りの動きを遂行する。「どんな球がきても捕るのがレシーバーの仕事」と、心意気も一流だ。岡田のプレーには、どの試合でも、パスから流れを持ってくるという信念を感じる。

持ち味はキャッチだけではない。キャッチ後のランにおいても抜群の能力を発揮する。専修大戦では、自陣でショートパスを受けると次々と相手を抜き去り、関東最長の85ヤードTDを決めた。敵の間を縫うように、スピードを殺さず走り抜けるランは、リターンでも活かされている。6年ぶりの勝利を収めた日大戦では、好リターンを連発。チームにチャンスを与えた。この男がボールを持てば何かが起きる、そう思わせる走りを岡田は持っている。

甲子園で狙うは日本一のみ。アスリートが揃う立命館ディフェンスを相手に、岡田の実力がどこまで通用するかが鍵を握る。仲間が繋いできたボールを、最後に受け取るレシーバーの責任は重大だ。しかし、だからこそチームを引っ張ることができる。岡田のキャッチが早稲田を勝利へ、甲子園から東京ドームへ導くに違いない。

K/P#16 佐藤 敏基(4年)

選手たちが声も高々に動き回るフィールドの中で、一人黙々とボールを蹴り続ける男がいる。K/P佐藤敏基。今季の関東制覇は、この男を抜きには語れない。幾度も先制FGを決め、常にチームに勢いをもたらしてきた。今でこそ正確なキッキングでチームに貢献しているが、春シーズンはケガで思うようなプレーができず、もどかしい日々が続いた。だがその期間は身体のケアを重視し、万全な状態で秋に臨めるよう準備した。その準備こそが現在の安定したプレーにつながっている。

佐藤(敏)には、飛躍のきっかけともなる2つの出来事があった。3年時に参加した海外での強化キャンプ、そして今春に参加した日本代表合宿だ。どちらも高いレベルのフットボールにじかに触れる機会で、本人にとっては大きな刺激となったに違いない。まだ社会人のレベルには到達していないと自己評価するが、常に高いレベルを目指し成長しようとする姿勢も、佐藤(敏)が学生界屈指のキッカーたるゆえんだ。

アメリカンフットボールという競技自体が究極のチームスポーツと言われる中で、キッカーというポジションは特殊だと言う。自分に与えられた役割を、キックによって果たすことがキッカーにとっては最も重要だ。常に己と向き合い、己の限界と戦い続ける。TDに比べれば確かに得点は少ないかもしれない。しかしFG、TFPの得点で勝敗が決まることが往々にしてある。それゆえ自身にかかる重圧も並大抵のものではないはずだ。
「与えられた仕事をパーフェクトにこなすことがチームのため」と佐藤(敏)は語る。専任としてこのポジションを任されているからこそ、譲れない想いが宿っている。

目指し続けてきた大舞台。学生フットボール界における最高峰の戦い、甲子園ボウル。ともにこれまで戦ってきた仲間と、最高の瞬間を分かち合うために。この男のキックから放たれるボールの軌跡が、チームの勝利に向かう道しるべとなる。

LB#5 ケビン・コグラン(4年)

5年ぶりの関東王者となった早稲田。各選手の良さが光ったリーグ戦であったが、ひときわ目立っていたのが、今季副将を務めるコグラン・ケビンだ。フィールドを縦横無尽に駆け回り、常に相手オフェンスの前に立ち塞がる、頼れるLBだ。

思い返せば4位という結果に終わった昨秋。最終節の慶大戦が終わり、「一からチームを作る、ディフェンスだけではなくてチームを一から作るという気持ちでやっていく」と、コグランは来季への熱い思いを口にしていた。
そしてディフェンスの絶対的エースとして臨んだ今季。何度もキャリアを仕留め、常にチームを鼓舞し続ける活躍を見せたコグラン。リーグ戦MVPにも輝き、まさに関東を代表するLBと言っても過言ではないだろう。そんなコグランの持ち味は、なんといってもここ一番でのビックプレーだ。

中でも圧巻だったのは、今季の山場となった日大戦。21-9の接戦をものにした立役者がコグランだった。まず前半に相手のパントをブロックし、そのままリカバーしリターンTD。試合終了間際には、相手パスをインターセプト。こちらもリターンTDにつなげ、必死の反撃をみせる日大を振り切った。
「たまたまボールが来ただけ」と、語ったコグランだが、ボールに対する嗅覚はピカイチ。オフェンスで流れが作れなくとも、ディフェンスで流れを作る。今季の早稲田を象徴するような試合だった。

また大舞台での経験も豊富なコグラン。早大学院時代にはクリスマスボウルに出場し、最優秀ラインマン賞(安藤杯)を受賞。さらに大学では世界大会へ二度出場。1年次にU19(19歳以下日本代表)として3位、3年次には大学代表として2位に貢献する働きを見せた。舞台を甲子園に変えても、持ち味を遺憾なく発揮し、暴れまわってくれることだろう。

「リーグ戦も自分の活躍でチームを勝たすことができた、という思いもあるので、甲子園でも絶対に活躍して勝ちたい」。そう語るコグラン。爆発的なオフェンス力を見せる立命館に対して、ディフェンス、特にコグランのビックプレーは不可欠だ。ビックプレーを起こすこと、すなわちそれは勝利に近づくこと。ビックプレーを連発することができるか。勝負の明暗はこの男に託された。

LB#90 村橋 洋祐(4年)

『堅守の早稲田』。
今年の強みであるディフェンスをここまで牽引してきたのは、まぎれもなくこの男の存在が大きい。主将DL村橋洋祐。186センチ、105キロの恵まれたサイズと長い手足、鋭い出足を武器に、いち早く攻撃の芽を摘み取る。それが村橋のプレースタイルだ。

11月8日法政大戦。関東王者を決する横浜スタジアムのフィールドに、村橋がプレーする姿はなかった。前節、日大戦の2Q終了間際。村橋がフィールドに倒れ込んだ。プレー中に膝を故障し、交代を余儀なくされてしまったのだ。
下級生の頃から試合に出場し、これまでチームの最前列で身体を張ってきた村橋。昨年は関東秋季リーグ戦QBサック王に輝き、中心選手としての活躍を見せた。今年に入って、自分へのマークがより一層厳しくなり思うようなプレーができない中でも、チームプレーに徹してきた。そんな男がサイドラインに下がっていった表情は悔しさに溢れていた。

「このチームで日本一に」。そう決意した今季、主将としてここまで突っ走ってきた。最後までプレーができない。これほど無念なことはなかっただろう。しかし、チームは「村橋を日本一の主将にしよう」と、奮起。副将LBコグランの活躍も光り、関東王者・日大の撃破に繋がった。試合後、村橋は「仲間たちには本当に感謝したい」と、言葉を詰まらせながら話した。

そうして迎えた法政大との決戦。「準備したことは、全て発揮することができた」。負傷で出場できない村橋は、いまできる全てをチームに託した。すると村橋の想いがチーム全体に伝播する。QB政本が試合を決定づける55ヤードの独走TDを奪うなど、日大戦では機能しなかったオフェンスが躍動した。

今年の早稲田は一味違う。その原動力となっている村橋は、この一年で酸いも甘いも味わってきた。「僕自身のプレーでチームに流れを持ってくる」。聖地・甲子園での再起を誓った村橋。これまで内に秘めていた闘志を解き放つ時は来た。誇り高き闘将、いざ出陣!

DB#2 寺中 健悟 (4年)

相手オフェンスの全体を鋭く見抜く視線と視座。腰を落とし、ボールの動きに全神経を傾けるセット。そして、ボールキャリアまで一直線にたどり着くパシュート。セカンダリーとして、早稲田守備を後ろから統率する副将DB寺中健悟のタックルは、泥臭く、力強く、そして美しい。
寺中自身は、今季のプレーをふり返って「第4節までは、4年間で一番良い動きができた。全体像を見て、読んで動いていくプレーで、良い味を出せている」と話す。決戦となる甲子園ボウルにおいても、寺中のランサポート、そしてパスカバーが強力な立命館オフェンスを食い止める大きな鍵となる。

早大学院高からフットボールを始めた寺中。大学入学後も頭角を現し、2年時からはチームの主軸としてプレーするようになった。しかし昨季は、日大、法大にあと一歩のところまで迫りながらも敗れた。
そこで今季は、そのフットボールIQを生かして綿密なスカウティング、準備を徹底。寺中らが主体となって、日大戦で解禁された2DL5DB守備を温めてきた。リーグ戦第4節までは、SSとして積極的なランサポートで、相手のゲインを最小限に食い止めている。日大戦からはシステム変更で役割が変わったが、「日大戦、法大戦は割り切ってパスを狙いにいけた」と、パスカバーで相手にプレッシャーを与え続けた。
寺中の一番の強みとして、優れたフットボール感覚が挙げられる。感性を研ぎ、あえてWRを空けておいて、QBに投げさせたところをインターセプトするという技術も兼備している。戦略面とプレー面の両方からチームを牽引する存在だ。

「初めて日本一を懸けて戦える。それに感謝して、泥臭く、足を動かし続けて絶対に勝ちます」と、意気込みを話す寺中。自分たちで作り上げたディフェンスで悲願の日本一へ。これまで経験した苦楽の全てを力に変えて。早稲田ディフェンスの真髄、寺中の動きに注目だ。

TOPページへ
選手権組合せ表